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YUIみらいプロジェクトでご縁のあった方々に、不定期にニュースレターをお届けしています。

 

YUIみらいプロジェクトの助成期間も残すところ半年余り。これからは毎号2,3団体づつ各団体の現在の取り組みを伝えていきたいと思います。今回お伝えするのは、包括的性教育に取り組むハッピーウーマンプロジェクト(富山県富山市)と、ひとり親/プレひとり親の居住支援を行うLivEQuality HUB(愛知県名古屋市)です。両団体とも、先進的な取り組みを、多様なステークホルダーとともに事業を展開しています。

世界基準の包括的セクシュアリティ教育を地域に届ける――ハッピーウーマンプロジェクトの挑戦

皆さんは「性教育」と聞くと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか?
保健体育の授業で教わる「性の知識」、あるいは避妊や妊娠に関する話……そんな印象を持つ方が多いかもしれません。

しかし今、富山県を拠点に活動する特定非営利活動法人ハッピーウーマンプロジェクトは、“性を学ぶこと”は“生き方を選ぶこと”だと捉え、包括的性教育の普及に力を注いでいます。

 

同団体はもともと、DVや貧困、居場所を失った女性たちへの保護・支援活動からスタートしました。支援の現場で出会った多くの若年女性たちは、「自分のからだは自分のもの」という感覚を持てず、性や生殖に関する選択を他人任せにしてしまっていたといいます。そこから、「子ども時代から“自己を尊重し、自己決定できる力”を育む教育が必要なのではないか」という気づきが生まれました。

 

現在、YUIみらいプロジェクトの助成を受け、ハッピーウーマンプロジェクトはユネスコが策定した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づいた教材開発を進めています。このガイダンスは、①人間関係、②価値観・人権・文化、③ジェンダーの理解、④暴力と安全、⑤健康と幸福、⑥身体と発達、⑦性行動、⑧性と生殖の健康という8つの柱に沿って、5〜18歳の子どもたちの年齢段階ごとに学習目標が体系的に整理されているのが特徴です。

とはいえ、この「国際基準」を地域の実情に合わせてどう伝えるかは、決して簡単ではありません。たとえば、家族の多様性や人権といった、これまで学校現場で扱われることの少なかったテーマも含まれており、教材づくりは一筋縄ではいきませんでした。教育者や専門家のチームを立ち上げ、繰り返し議論を重ねながら、保育園・学校での試行を経て、現場に根ざしたプログラムを少しずつ形にしています。

 

「国際基準の包括的性教育を通じて、富山県の子どもたちがジェンダー平等をはじめ、人権、文化、価値観などの多様性を学ぶことで、既存の差別的な仕組みに幼少期から気づき、差別的な慣習や構造を変革する力が育成されると考えます。いつか県内のすべての子どもたちに対して包括的性教育が行われることを目指したい。」

 

そんな願いを胸に、ハッピーウーマンプロジェクトは、地域に根ざした挑戦を続けながら、次の世代に確かな学びを届けようと歩みを進めています。

LivEQuality HUB「制度はある。でも“届く”とは限らない」――現場と連携でつくる支援モデルの力

LivEQuality HUBの皆様とみらいRITA代表理事の薗田綾子(中央)

「支援制度はある。でも、必要な人に“届く”とは限らないんです」。そう語るのは、LivEQuality HUB(以下LQHUB)で居住支援コーディネーターです。

 

名古屋市を拠点に活動するLQHUBは、配偶者からの暴力(DV)や離婚前の別居などによって住まいを失った女性と子どもたちに寄り添ってきました。彼女たちは、暴力から逃れた先で、新たな住まいを確保し、生活を立て直すという極めて困難なプロセスを歩まなければなりません。しかし日本では、性別役割分業を前提とした制度や慣習が根強く残っており、女性の経済的自立にはいまだ高いハードルが存在します。

 

こうした中、LQHUBは「住まいを失うことをきっかけとした負の連鎖」を断ち切るために、多機関連携のもとで、柔軟な条件での住まい探しや入居支援を行っています。理解があり、特別な料金設定で住まいを提供する大家さんと連携し、住まいを確保、入居後も定期的な面談を通じて、困りごとに応じた支援機関へのつなぎや同行支援を行い、親子が様々な信頼できるつながりを育むことも含めて伴走を続けます。

 

現場で明らかになってきたのは、「離婚が成立していないが、事実上ひとり親」として暮らすプレシングルマザーたちの存在です。LQHUBの相談者でも相当数を占める彼女たちは、児童扶養手当など主要なひとり親支援制度の対象外とされることが多く、生活支援や就労支援にもアクセスできない現状に置かれています。さらに日本の制度は「申請主義」に基づいており、情報を得て、自ら困りごとを把握し、申請することが前提です。しかし、多忙や体調不良、偏見への恐れなどによって、それすら叶わない人も少なくありません。

 

「『あなたは対象外です』と言われ、諦めてしまう人も多い。でも、知っていたら助かった人がきっといます」。居住コーディネーターの方の言葉には、制度の設計と現場のリアルの間にある深いギャップへの危機感が込められています。

 

LQHUBでは現在、そうしたプレシングルマザーの困難を社会全体で支える仕組みに変えていくべく、2つの方向から取り組みを進めています。ひとつは、これまでの実践で培った支援方法を形式知化し、か口でで応用できるモデルとして展開していくこと。もうひとつは、児童扶養手当の支給基準の見直しなど、制度の壁そのものを変える政策提言の活動です。

 

この取り組みを大きく後押ししているのが、YUIみらいプロジェクトの助成です。LQHUBは設立間もない団体でありながら、支援の現場を担うスタッフと、業務整理や標準化を担うバックオフィスとの連携体制が整っています。相談員の持つ知識や経験を、ドキュメンテーションに強みを持つスタッフが丁寧にヒアリング・整理し、支援の属人化を防ぎながら組織の知見として蓄積。それはすでに新規スタッフのOJTにも活用されており、持続可能な支援体制の土台となっています。

 

「制度がある」から「制度が届く」社会へ。その実現に向けて、現場に根ざしながら、制度を超える挑戦を続けるLivEQuality HUBの取り組みを、多くの方に知って頂けたらと思います。

 

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